「行動制御脳トレ」で脳老化によるイライラを解消！

2023年12月28日 | 健康のこと -Health-

一般に、「歳をとると怒りっぽくなる」といわれますが、昨今、高齢者による暴行や暴言を取り上げる報道をよく見聞きするようになってきました。実際に、傷害及び暴行による高齢者の検挙人数は年々増加傾向にあるといいます。
高齢者人口がさらに増加する、世界一の超高齢化社会ニッポンにおいては、「キレる高齢者」は避けられない社会問題になるといえるでしょう。
対策として何ができるのかというと、脳科学的には「脳のアンチエイジング」です。なぜなら、感情のコントロールが効かなくなってきたということは、典型的な脳老化のサインであるためです。

人間らしい生活を支える高次な働きを司っているのは、おでこのちょうど裏側にある大脳の一部「前頭前野」という部位です。前頭前野は思考や判断力、創造力など重要な働きをしているほか、「感情の抑制」も担っています。
前頭前野の働きは20歳をピークに加齢するにつれて衰えていきます。すると、徐々に「感情の老化」が起こるのです。怒りっぽくなったり、集中力が続かなくなったり。無気力になったり、不安が強くなったりすることもあります。
今まで穏やかだった人が、急にカッとなって家族や職場の人をどなりつけるようになった。いつも元気がなくて外出することもめんどうがるようになった。高齢者にそんな様子が見えたら、前頭前野が衰えてきた可能性があると考えてください。

早期発見、早期対策をすることで、感情のコントロール力を取り戻すことは可能です。何をすればよいかというと、衰え始めた前頭前野を活性化させる脳トレをするのが効果的。百マス計算などを全力で早く解いたり、できるだけたくさんの単語を記憶したり、新聞を音読するなど、「読み書き計算」の学習を1日10分から始めてみてください。
また、「行動制御」のトレーニングをすることも、抑制する脳の力をよみがえらせるのに効果的です。行動制御とは、手足を左右別々に動かすことで、思わずどちらかにつられてしまうのを意識的に制御するといった脳トレです。

例えば、「利き手で空中に三角形を書きながら、同じスピードで利き手でないほうの手では四角形を書く」「同じタイミングで、利き手はグー、パー、チョキ、左手はパー、チョキ、グーの順番で出す」といった内容になります。
コツは、「できるだけ早く行う」ことです。のんびりやっていては効果は上がりません。「30秒間の間に4回繰り返す」といったかたちで、ギリギリできるかどうかの目標を立てて取り組んでください。
この行動制御によって、前頭前野に加えて、脳の運動領域の情報処理を行う「運動連合野」「運動野」といった部位が効果的に鍛えられます。続けていくうちに、徐々に感情コントロール力も向上していくことが期待できます。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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