「朝に何を食べるか？」が脳のパフォーマンスを左右する！？

2023年12月28日 | 健康のこと -Health-

ギリギリまで寝て、時間がないので朝食はなし！慌てて身支度を整えて家を飛び出す…そんな慌ただしい朝を過ごしている方は、少なくないでしょう。時間がないと一番に省かれてしまうのが、朝食です。実際に、平成29年に厚生労働省が行った調査によると、朝食の欠食率は男性が15％、女性が10.2％。ところが、これが20代になると男性30.6％、女性23.6％と倍以上になることが分かりました。男性は3人に1人、女性は4人に1人が「朝ごはん抜き」という結果です。

実は、このような「朝食抜き」が脳にネガティブな影響を与えることが、我々の調査で明らかになっています。「子どもの頃の朝食習慣が大人になってどのような影響を与えているか？」についてのアンケート調査からは、人生を大きく左右する次のような結果が現れました。

① 毎日朝食をとっていた人たちの50％以上は第一希望の大学に入学している。
② 朝食をとっていない人たちの30％以上は第三志望以下の大学にしか入れていない。
③ 毎日朝食をとっていた人たちの60％は第一志望の会社に就職している。
④ 朝食をとっていない人たちの30％は第三志望以下の会社にしか就職できていない。

子ども時代に限らず、大人になってからも朝食を毎日食べてきた人たちは仕事へのモチベーションや集中力が高い一方で、朝食を欠食してきた人たちは、仕事へのモチベーションが低く、ストレスを感じやすい傾向が高いことも分かりました。
当然ながら、年収にもその影響は表れており、朝食を毎日食べてきた人たちの生涯年収は高い層に集中しており、朝食をとっていなかった人たちの生涯年収は低い層に集中していました。

なぜこのような差が生まれるのかというと、朝食のあるなしで、脳へ送られる栄養に大きな違いが現れるためです。脳を働かせるためのエネルギーはブドウ糖です。ブドウ糖は、お米やパンなどの炭水化物から得られます。睡眠中、絶食状態にあった脳は、朝食をとることで初めてエネルギーが注入されることになります。さらに、取り込んだブドウ糖を十分に活用するためには、タンパク質や脂質、ビタミンやミネラルなども必須となります。そのためには、できるだけ多種多様なおかずを主食と共にバランスよく食べることが重要なのです。
実際に、パンやごはんなどの主食だけでなく、おかずを数多く食べている人ほど集中力や作業スピードが速くなることが分かっています。

そのため、私は主食にさまざまなおかずが付随するスタイルの食事として、一汁三菜の和食をおすすめしています。「朝にそんな余裕ないよ！」と心配になるかもしれませんが、前日の夕食に具だくさんの味噌汁を多めに作っておいたり、漬物を添えたり、卵かけごはんや鮭おにぎりにするなど、上手に手を抜きながら、美味しくて脳にもよい朝ごはんを習慣づけてみてください。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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