2019年5月8日 | 健康のこと -Health-
以前ご紹介した「巷で耳にするがんにまつわる素朴なギモンを現役医師に聞いてみた」では、がんが身近な病気であることをあらためてご紹介しました。人生100年時代を生きる私たちにとって、より長く健やかで充実した日々を送るためにも、がんのような大きなリスクに対処しておくことは重要だと言えます。
しかし、国立がん研究センターが発表した調査データを見ると、全国のがん検診受診率は高くないようです。こうしたことから、厚労省や市町村が主導してがん検診を受けやすい環境づくりが進められています。
ここでは、具体的ながん対策の取り組みとして挙げられる「がん検診」について、解説していきます。
出典:国立がん研究センター「がん検診受診率(国民生活基礎調査)」
多くの人にとって、がん検診はまだまだ身近なことではないかも知れません。「なぜ受ける必要があるのか?」「どうやったら検診を受けられるのか?」「検診では何をされるのだろう?」といったギモンや不安があれば、当然ながら一歩踏み出す勇気が出づらいものでしょう。
そこで、まずは「がん検診」について概要を把握してみましょう。
そもそも、がん検診は、大きく分けて対策型検診と任意型検診の2種類があります。
前者の対策型検診は、住民検診や職域検診に代表されるもので、予防対策として公共的に提供されるサービスのことを指します。
無料か自己負担が少額なうえ、近年、がん検診の効果を科学的な方法で評価したうえで「効果がある」と分かったものが検診内容として反映されているという特徴があります。
他方、任意型検診は、個人ががん等による死亡リスクに備えるためのものです。人間ドックやがんスクリーニング検査、PETといった検診内容が挙げられ、全額自費で受診するという特徴があります。こちらの場合は任意型検診を行なっている医療機関に個人で申し込み、受診することになります。
対策型検診は一定年齢になったら受診を促されるもので、現在5種類が実施されています。では、実際にどのような検診が行なわれているのでしょうか?それぞれの検診内容についてご紹介します。
50歳以上の人を対象に行なわれる「胃がんの検診」では、問診に加え、バリウムを飲んで胃のレントゲンを撮る検査、または、胃内視鏡検査のいずれかを受けることになります。頻度は2年に1回が望ましいとされています。
40歳以上の人を対象に毎年行なわれる「肺がんの検診」でも、質問または問診に加え、胸部レントゲン撮影の検査と場合によっては喀痰細胞診が行なわれます。
喀痰細胞診とは、吐き出した痰を観察して肺の組織から剥がれ落ちたがん細胞がないか調べることです。これは、原則50歳以上の人で、過去に喫煙していた、または、喫煙指数(1日に吸うタバコの本数✕喫煙している年数)が600以上だった場合に行なわれます。
40歳以上の人を対象に毎年行なわれる「大腸がんの検診」でも、やはり問診が行なわれます。これに加え、便潜血検査という検査が実施されます。便潜血とは、便が大腸を通る際にがん細胞をこすって出た血が便に混じったもの。「便の検査って、抵抗があるな」と感じる人もいるかもしれませんが、大腸がんの有無を見定めるためにも、この検査は有効だとされています。
20歳以上の女性に2年に1回の頻度で行なわれる「子宮頸がんの検診」では、月経周期や直近の月経の様子、生理痛の有無などを問診票や医師の質問に答えた上で、視診、子宮頸部の細胞を採取して観察する細胞診が行なわれます。
子宮頸がんは若年で起こりやすいと言われる一方、進行がゆっくりであるとされるため、定期的にデータを取り経過を観察していく必要があるとされています。
40歳以上の女性が対象となる「乳がんの検診」では、問診とマンモグラフィ(2枚の板に乳房を挟んでレントゲン撮影をする検査)、視触診が行なわれます。
ただし、マンモグラフィでは閉経前の若い世代や乳腺が発達している人のしこりを見つけにくい、という弱点が指摘されています。そのため、超音波検査も実施することが望ましい、と言われています。
検診の内容がおおよそ分かったら、次に知りたくなるのが「どのくらいの確率でがんが発見できるのか?」ということですね。
検診そのものについて、以前の記事でもコメントを寄せてくれた山本佳奈医師は「どのように優れた検査でも100%の精度ではありません。がんが発生した時点から一定の大きさになるまで、検査で発見することはまだできないのが現状です。また、がんの種類や検査の方法によっても発見の精度は異なります。さらに、がんそのものが見つけにくい形、見つけにくい場所に出たりする場合があり、ある程度の見逃しは、どのような検診であっても残念ながら起こってしまいます」と解説してくれました。
それに加え、「実はがん検診によってがんの疑いがあると判定され、精密検査を行なってもがんではないという判断がされることも少なくありません。これを検診での『偽陽性』といいます。『偽陽性』は完全には避けようがなく、精密検査を行なってはじめてそれとわかるものです。どちらか分からないからこそ、精密検査が必要とも言えるでしょう。
さらに、検診では、生命状態に影響しないほど微小で、その後も進行がんにはならないがんを見つける場合もあります。これを『過剰診断』と言います。早期発見、早期治療のためにはある程度やむをえないことですが、結果的にみれば、過度に不安を感じてしまったり、『不必要な治療や検査だった』と徒労に感じることもあるかもしれません」とも説明してくれました。
一般的ながん検診の目的は、死亡に至る恐れがあるがんをできるだけ正確に見つけ、発見した段階で早期に治療を行なうことです。それが、がんで死亡するリスクを減少させることにも繋がるでしょう。がん検診を受けることはもちろん、もし精密検査が必要と出ても、落胆せずしっかりと受診して自分の状態を知るようにしたいですね。
では、がん検診を受けるにはどうすればいいのでしょうか?
多くの市町村など地方自治体では、受診対象年齢になると、封書や広報誌を通じて「がん検診に行きましょう」と知らせてくれます。ただし、これは各自治体によって違いがあるため、定期的に郵便物や市町村のウェブサイトなどをチェックしたり市区町村のがん検診担当窓口に相談して、健康に役立つ情報を手に入れるようにしたいところです。
また、費用についても、各地方自治体で自己負担額は異なりますが、クーポン券を使うと無料または一部負担でがん検診が受けられるようになっています。
参考:厚生労働省「がん検診推進事業について」
住民検診としてがん検診を受けられればいいのですが、会社勤めをしていると、そうした情報を受け取る機会がなかったり、たとえ知ったとしても検診に行く時間を取りづらかったりするかもしれません。そうしたことに配慮し、職場で定期検診が行なわれることもあります。
自分で医療機関を探したり予約を取ったりする手間がなくなるので、こちらの方がより受診しやすい人も多いかもしれません。
がん検診を受診した後、届いた結果に「精密検査が必要」と記載されていたらどうすればいいのでしょうか?前出の山本佳奈先生は次のように語ってくれました。
「私は、学生時代には自己採点でテストの結果を知ることを怖がるタイプでしたが、がん検診の結果については『話は別だ!』と思っています。もし私自身が『精密検査が必要だ』と言われたら、すぐに精密検査をして、詳細を知りたいと思います。
当然ながらがんを怖いと思う気持ちはあります。しかし、もしがんと分かってもまだ『打てる手、対抗策』があります。それに早期に取り組むためにも、早く自分の体のことを知りたい、と思うのです。
幸いなことに精密検査が必要ないとしても、たとえば運動をしたり食生活に気を配ったり、検診で継続的に自分の体のことをチェックしておくことは、とても意味のあることだと言えます。そうした努力を続けることで病気のリスクを排除したり低減させたりすることができれば、健康寿命を伸ばし、長く人生を楽しむことにもつながっていくのではないでしょうか」
寿命が伸びている分、病気にかかるリスクもやはり比例してしまう今日。がんに限らず、病気は突然、自分はもちろん家族にだって襲ってくることが考えられます。この状況を踏まえて、予防につながることに積極的に取り組んでいくことが、人生100年時代の病気との向き合い方のひとつと言えるのではないでしょうか。
山本佳奈(やまもと・かな)
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)がある。このほか、ニュースサイトなどで女性の健康に関するコラムを不定期連載している。
AXA-A2-1904-0217/A6D
アクサ生命は、まず「がんに罹患しない」ためのサポートを、もしもがんに罹患したとしても「早期発見と最適な治療方法の選択」「治療と生活の両立」のサポートをいたします。
あなたの「夢」を叶え、人生100年時代を豊かにするためのプランを一緒に考えませんか。
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