「高性脳」に作り替わる!?読む脳トレを習慣に！

2023年12月28日 | 健康のこと -Health-

脳を活性化する効果的な方法として、私が常に言い続けているのが「読み・書き・計算」です。昔から行われている最もベーシックなこの学習方法こそが、脳を鍛える効果が大変高いということは、数々の研究で明らかになっています。なかでも、読書については年齢関係なく、最も手軽に、楽しみながら行える脳トレと言えるでしょう。
さらに、読書は脳を活性化するだけでなく、脳の神経回路をも強化することが分かっています。

東北大学が行った研究では、296名の子どもを対象に、読書習慣と合わせて、読解力などの認知機能検査、脳の神経回路の構造を調べるためのMRI撮影を行いました。
結果、たくさん読書をしていた子どもほど読解力テストの成績が高いことが分かりました。さらに、3年後に同じテストを実施したところ、読書をする子どもほど読解力テストの成績の伸びが大きいということも確認されました。
加えて、MRIの分析からは、読書をしている子どもほど神経線維のネットワークの結束力が強く、3年後の同じ検査でも神経回路の発達度合いが大きいという結果になりました。
つまり、たくさん本を読む子どもは読解力が高く、言語能力に関する脳の神経回路を成長・発達させることができることが分かったのです。

また、読書をすることは創造力を伸ばすことにもつながります。私たちが新しいものを生み出す創造性を発揮するときに活性化する脳の部位を調べてみたところ、語彙を格納する部位と言葉を扱う部位であることが分かったのです。つまり、読書をするときに活性化する脳の部位と、クリエイティブな力を発揮するときに活性化する脳の部位は同じ、ということです。つまり、創造力をつけたいと思ったとき、最も効果的なトレーニングは「読書」ということです。

脳が活性化し、脳の神経回路を強化し、創造力もトレーニングできる……まさに、読書習慣は脳にとって福音ばかり。まったく行わないのは、実にもったいないことといえます。
とはいえ、学生時代はともかく、仕事に追われる社会人になると、なかなか読書のためのまとまった時間をとることが難しくなります。テレビに加えて、動画アプリやSNSなどの多種多様なコンテンツが増えたことも大きく影響しているといえます。

実際に、国立青少年教育振興機構が行った、20代から60代を対象に「一カ月に読んだ本の冊数」を調べたアンケート調査によると、最も多かったのが「0冊」の45・9％でした。実に、半数近くの人がひと月に一冊も本を読んでいないことが分かります。
とはいえ、読書は老若男女問わず、手軽に楽しみながらできる効果的な脳トレ。通勤中の電車に乗ったら読書、夕食後の15分は読書、就寝前にベッドに入ったときは読書……と、毎日の生活のなかのルーティンに組み込む工夫をしながら、読書習慣を楽しんでください。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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