スマホ、テレビ、ゲームなど、現代のテクノロジーに要注意!?

2023年12月28日 | 健康のこと -Health-

脳のパフォーマンスを高めたいと考えるとき、最も重要になるのが「脳にとってリスクになることをできる限り避ける」ということです。そして、私が常々言い続けているのが「スマホ、テレビ、ゲームは使い方を注意する必要がある」ということです。
日常的にスマホをいじっている、テレビを朝から晩まで見ている、隙間時間があればゲームをしているなどは、脳の機能を低下させるリスクが高いことが、これまでの研究でわかっています。

なぜ、テレビやゲーム、スマホの使い方に注意しなくてはならないかというと、「前頭前野を硬直させるから」です。前頭前野は思考や判断力、感情コントロールなど、高次な働きを司る、人間にとって大変重要な脳の部位です。その前頭前野の働きを抑制し、硬直させてしまうことが、科学的にも明らかにされています。
テレビの視聴中に主に働いている脳の部位は、視覚や聴覚に関わっている後頭葉と側頭葉です。つまり、テレビを視聴している間中、脳は「見る」と「聞く」のみに使われており、反対に「思考する」ための前頭前野の血流は低下し、働きが抑制された状態になるのです。
結果、何が起こるのかというと、認知機能の低下です。実際に、テレビの視聴時間が長い高齢者ほど、アルツハイマー型認知症になるリスクが高くなることが分かっています。また、子どもにもその影響は顕著で、テレビ視聴時間が長いほど、言語性知能指数が低くなること、大脳皮質の発達が悪くなることも判明しています。

ゲームも同じように、前頭前野に強い抑制がかかることが分かっています。ゲーム中の脳を調べるために計測を行ったところ、ゲームのタイプによって脳が働く部位は異なるものの、一度やり方に慣れてしまうとテレビと同じように、前頭前野に強い抑制がかかることが分かりました。
スマホも同様です。脳血流の変化を調べる装置を装着し、スマホで言葉の意味を調べてもらったところ、驚くことに前頭前野の血流が大きく低下し、抑制がかかりました。逆に、同じ言葉を辞書で調べたときには、前頭前野の血流は増加しました。
スマホアプリ、とくにメッセンジャーアプリの使用は、脳への悪影響が科学的に証明されています。
東北大学が行った調査・研究では、あるメッセンジャーアプリの使用時間と学力の関係を調べたところ、「使えば使った分だけ成績が下がる」というデータが示されました。勉強しているかどうか、睡眠をきちんととっているかどうかに関係なく「そのアプリを使えば直接的に成績が下がる」という結果が出たのです。

生活を楽で便利にするテクノロジーを全く使わない生活はとても難しいとは思いますが、「スマホは学習中や仕事中は手の届かないところに置く」「テレビは見る番組を決めて、ながら視聴はしない」「隙間時間はゲーム以外の読書や手仕事をする」など、スマホ、テレビ、ゲームとの付き合い方を工夫して、できるだけ使う時間を少なくするよう工夫することをおすすめします。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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