今すぐできる！「高速脳」をつくる方法

2023年12月28日 | 健康のこと -Health-

みなさんは、どんな人に「頭がいい！」という印象を持つでしょうか？
どんな話題にもすぐに切り返して展開を広げたり、状況の変化に対しても即時で対応策を考え出すことができたり。記憶力や発想のスピードの速さなど、頭の良さを感じる言動にはいろいろありますが……それらはすべて、脳の情報処理能力がカギとなっています。

脳の情報処理を司っているのは、私たちのおでこのちょうど裏側にある「前頭前野」という大脳の一部。前頭前野は情報処理の他、思考力や記憶力、集中力や創造力など、人間らしい高次な活動のすべてに関わっている、最重要の場所ともいえます。
つまり、前頭前野を活性化し、鍛えることで、脳の情報処理のスペックが高まり「頭が良い人」になれる…ということです。

では、どんな時に強く前頭前野が活性化するのでしょうか。意外なことに、数字や文字といった「記号」を処理するときこそ、前頭前野が最も活性化することが、脳科学研究で明らかになっています。

「え！？そんな簡単なことで？」と驚かれるかもしれませんね。難解な数学の問題を解くよりも、ひとケタのかんたんな足し算や引き算を速くたくさん解く方が、前頭前野はどんどん活性化し、その体積を増して性能を高めてゆくことが分かっているのです。
体積が増えるということは、脳の細胞の間をつなぐ神経線維が長くなったり、増えたりして、神経回路がより複雑になるということを意味しています。これを繰り返すことで、前頭前野はより働きやすい、高次な脳に作り替わっていくのです。
重要なのは、「速く解く」というところ。のんびりと計算していても、脳はよりよく作り替わりません。できる限り速く取り組むことで、はじめて脳はやる気を出し、血流をどんどん上げて発火し、より高度な脳へと変化を遂げてゆくことができます。

「いまさら計算が多少速くなってもね…」と思うかもしれませんが、実は、この簡単な計算で前頭前野を鍛えると、計算と関係のない能力――先に示したような、思考力や集中力、創造力といった、人間らしい高次な能力も高まることが分かっています。この現象は「転移の効果（トランスファーエフェクト）」と呼ばれています。
簡単な計算をやるだけで、脳の処理速度が高まるだけでなく、人間ならではのさまざまな能力が上がる…つまり、加齢で衰えかけた脳を若返らせることが可能なのです。毎日の単純な計算で、脳がより複雑に働くようになる…実にリターンの大きな投資といえますから、やらない理由はありません。ぜひトライしてみてください。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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