脳のリスクを激増させる⁉肥満、糖尿病、高血圧

2023年12月28日 | 健康のこと -Health-

加齢するにしたがって増えてくるのが、肥満と生活習慣病予備軍です。
健康診断の結果を見て、ため息をつく人も多いのではないでしょうか。中には、医師から「要注意」と黄色信号を出された…という人もいることでしょう。
実は、肥満や生活習慣病が脳にとっても悪影響であることが、昨今の研究で分かってきました。

アメリカ・マイアミ大学の研究チームからの報告によると、肥満が脳の老化を加速させることが確認されたといいます。
平均年齢64歳の男女約1,300人を対象に調査をしたところ、中年期から初老期にかけて、過体重もしくはウエスト周囲径が大きい人ほど、大脳皮質（白灰質）の厚さが薄くなる傾向があることが分かりました。
健康な人であっても、加齢するにしたがって大脳皮質は10年あたり0.01～0.1㎜程度薄くなっていきます。これが、脳の老化です。今回の調査では、ウエスト周囲径が大きく、BMIが1単位上昇するごとに、大脳皮質が約0.2㎜ずつ薄くなっていくことが分かりました。
特に、これらは65歳未満の人に強く見られたことから「中年期から初老期の体重は、その後の大脳皮質の薄さに大きく影響する」とも指摘されています。

また糖尿病も脳の劣化を早めることが分かっています。そのキーワードは「アミロイドβ（ベータ）」です。アミロイドβとは、脳の活動の結果発生するタンパク質の一種で「脳のゴミ」とも呼ばれる老廃物です。認知症は、老廃物であるアミロイドβが溜まることが原因の1つとわかっています。通常は、分解されて排出されていくことで、脳内がリフレッシュされますが、糖尿病になるとインスリンの分泌が不足するため、このアミロイドβが分解されづらくなり、脳内にどんどん蓄積されてしまうのです。このアミロイドβの蓄積によって発症するのが「アルツハイマー型認知症」です。

同じく生活習慣病の代表ともいえる高血圧も、脳にはリスク大。福岡県の「久山町研究」は、中年期に高血圧がある人は、「血管性認知症」のリスクが中年期で2.4倍、老年期は3.2倍も高くなると報告しています。しかも、血圧が高くなるほど、そのリスクはさらに高まることも分かりました。
体重、血糖値、血圧は常に健全に保つことが、脳の老化を緩やかにして、認知症のリスクを低減することにもつながります。体重は毎日体重計で、血糖値や血圧は健康診断を定期的に受けてチェックを。その上で、少しでも数値が悪化したときにはすぐに生活改善をすることで、脳の健康を守っていきましょう。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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