2020年12月2日 | 会社経営のこと -Business-
「テレワーク導入のポイントとBCP~初期費用に活用できる助成金やガイドライン、業務円滑化の課題とは?~」では、テレワーク制度の導入や制度の利用拡大を想定し、環境や備品、コミュニケーションの課題と解決法などを取り上げました。
しかし、テレワークの課題は上述のようなことに限りません。特に、職場のダイバーシティが進み、年齢差や性別の違いだけでなく、外国人や障害を持っているひと、LGBTQ+(セクシュアル・マイノリティ)や特別な配慮を必要としているひとなど、多様なバックグラウンドを持つひとと一緒に働くようになった今日では、テレワーク下で感じる不安や心配事が多種多様に存在すると想像できます。
そうしたことを踏まえて、どういった特徴的な課題があるのかを具体的に把握することは、対応案を考える際の一助になるでしょう。本稿では、ダイバーシティを推進するアクサ生命として見えてきたコロナ禍での在宅テレワークでの気付きと今後配慮すべきだと考えるポイントなどについてお伝えします。
まず取り上げるのは、外国人従業員と在宅テレワークの気付きについてです。
アクサ生命には多くの外国人従業員がおり、一人暮らしのひとも少なくありません。彼らにとって、海外渡航が制限され、本国の家族と会えない、もしもの時に駆け付けられない、といった不安は言葉で言い表せないほど大きなものだったと想像できます。また、日本語に堪能ではない場合は得られる情報量が限られるため、より困難な状況に追い込まれるとの想像も難しくはありませんでした。
そこで、コロナ禍においては日常生活に役立つ情報を積極的に伝えることでサポートを続けました。この経験は、「もし災害など何らかの問題が起こった時には同様の対応が不可欠だ」との気付きになりました。
次に挙げたいのは、外国人の従業員だけでなく、独身やLGBTQ+の従業員から、「新型コロナは誰もが罹患するリスクがあり、急に症状が重くなる場合もあると聞く。普段以上に病気になるリスクが高いなかで、ひとりで病院に行けるだろうか?誰が病院に駆けつけてくれるのだろうか?」、「もしもの時、気軽に頼れるひとがいない。どうしよう…」といった不安や動揺の声が聞かれたことです。
このような心細い気持ちは、孤立しやすい環境で否応なく大きくなるとも考えられます。
そうした心情を受け取った上で、2020年春の一斉在宅テレワーク期間中は、コーヒーチャットやオンラインランチ会、アフターファイブのオンライン飲み会、ストレッチをする会や出身地のことを学び合う会など、これまで普通に行なっていた楽しいことを諦めないように、何らかの形で集まる機会を設けるようにしました。
こうしたつながりを感じられる取り組みは、「心の健康」や「身体の健康」を保つためにとても重要だと考えます。
在宅テレワーク時に求められる配慮についての気付きは、他にもあります。
今回、アクサ生命がほぼ完全に在宅テレワークを実施したのと同時期に学校が休校になったため、子どもがいる家庭では、持てるエネルギーを発散できずにいる子どもたちが家のなかで元気に走り回るなどし、いつも以上に子育ての大変さを感じやすい状況にあったとわかっています。「ちっとも言うことを聞いてくれない!」と、ストレスを感じたり、グチが出てしまう働く親御さんも少なくありませんでした。
一方、オンライン会議中に元気な子どもが登場して場が和む、という場面も見られました。本稿を読まれている方の中にも同様の経験をされた方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、最初は「かわいいね」と言っていたけれど、途中からはそれが辛く感じる、という意見も聞かれるようになりました。例えば、お子さんを望んでいるけれど…、というひとにとっては、そうした場面に遭遇するとプレッシャーや焦りを感じたり、悩みを抱え込んでしまったり、といったことがあるようです。
働きながら子育てをする大変さ、子どもがおらずそうした場面を見る辛さ…。このほか、普段なら感じないさまざまな機微が交錯しやすいのが、在宅テレワークの特性だと言えるでしょう。
この意見は、いままで考えていた職場のダイバーシティの一歩先、多様な働き方を組み入れるうえで、まだまだ見えていない課題があると気付くきっかけになったとも言えます。
アクサ生命では、障害を持つひとも従業員として一緒に働いています。もちろん、そうした従業員にも外出自粛期間中は在宅でのテレワークを実践してもらいました。
情報の文字化や電子化を必要とする聴覚障害のある従業員は、普段オフィスで業務をしたり会議に参加する際、筆談を用いたり、手話通訳専門の従業員とタッグを組んでいます。そのため、テレワークに切り替わっても、字幕や資料事前配布などの対応があれば普段と同じように業務ができることがわかりました。
また、視覚に障害がある従業員も、パソコンを使って文字を音声化することで、テレワークでも問題なく仕事ができることがわかりました。
このようにテレワークでメールやチャットなどテキストコミュニケーションが増えたことから、聴覚や視覚に障害のある従業員からは「仕事がしやすい環境になった」との声も聞かれました。通勤時に抱えるリスクも在宅であれば削減されるため、在宅テレワークはむしろメリットがある、と感じられたようです。
一方で、時間があり、仕事ができる環境が整ったことで「やる気になればいつでも仕事ができてしまうため、仕事量が増える」という場面も見られました。マネジメント側は、在宅テレワーク時には過重労働やペース配分の乱れが起こらないように十分配慮することが求められます。
心の調子の変化が体調の波につながっているひとの場合、テレワークでどれくらい影響が出るのかまだ見極め切れず、長期的に様子を見ながらマネジメントのあり方を考える必要がありそうです。
しかし、そうしたうえで、顕著な課題として見えているのは、「テレワーク下では、自分で体調が良い・悪いを判断して仕事を調整しやすくなるため、逆に生活リズムが乱れやすくなったり、長時間労働になりやすい」という点です。
特に、以前の職場などで長時間労働がきっかけで精神的な問題を抱えてしまった過去があるとすると、在宅テレワークは再び症状を悪化させるトリガーになる危険も想定されます。
つまり、「通勤を伴う働き方は、精神障害など心に不安を持ちやすい従業員にとっては規則正しい生活のリズムを作ることにつながり、かつ、出社してもらうことでマネジメント側も体調に配慮しやすくなる」との意見もある、というわけです。
アクサ生命ではこれまで、障害をもつ従業員の周囲には、業務を見守るバディ(相棒)となる存在がいることが望ましいとしていました。そうしたひとは、ただマネジメントするというだけでなく、心理的安心感を保つうえでも重要な存在です。
しかし、特に在宅テレワークでは、業務を見守る存在と同じ空間で一緒に働くことはできません。コロナ禍での在宅テレワークの体験は、バディとなるひとがいないなかでも「契約を切られるのでは?」など過剰な心配事を想像してひとりで抱え込まないようにするには「安心して働ける環境だ」と思ってもらえるように日頃から密に対話を重ね、工夫していく必要があると再確認する機会になりました。
前段で示した外国人やLGBTQ+の従業員、障害をもつ従業員だけでなく、本人が置かれている状況や性格などによって、本当に在宅でのテレワークが今後も働き方の選択肢となり得るのか、現段階では判断が難しいというのが、あらゆる従業員にとってのテレワーク事情の本当のところではないでしょうか?
また、現在は比較的順調にテレワークをこなしていたとしても、1年後などに様子が変わってくることも全くないとは言い切れません。それらの状況を踏まえ、この先、「あえてテレワークをしない」という判断はあり得ると考えられます。
そうした見方を意識に据えて、「いろんなひとが集まっているのが会社だ」ということを念頭に、日々きちんとコミュニケーションをとりつつ状況に対応していくことが重要であり、この点において、「障害を持つひとも持たないひとも同じだ」と言えるでしょう。
企業が、お客さまや社員などステークホルダーの利益を守り、社会の一員である責任を果たす存在であるなら、どのような局面でも事業を継続させられるよう備えるBCP(事業継続計画)の一環として在宅テレワークはもちろん、極端に言えば「どこからでもテレワークができる環境」を整備することは非常に重要です。
ただし、一斉テレワークのようなまれな経験をしたからこそ、「やはり出社しなければ仕事ができないことが明らかになった」という意見もあるでしょうし、通勤時間がなくなることでストレスも減り仕事の効率も上がるという意見もあるかもしれません。しかも、そうした反応が同じ会社内や部署内で出てくるとも考えられます。
では、どのようなルールでテレワークの制度を幅広く実施していくか?
この答えを導き出すことはここまで見てきた通り、一筋縄にはいきそうにありません。従業員全員で話し合い、それぞれの事情や背景、適性を見極めて実施していくことが大切だと考えられます。そのような機会を作ることも含めて、テレワークを導入するための密な議論はBCPを強化するプロセスになると期待できるのではないでしょうか。
あなたの会社のさまざまな課題に専門スタッフがお応えし、「100年企業」を目指すためのサポートをいたします。
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