アクサ流「お金の教養」
「サッカーW杯で日本優勝」「技術大国として日本復権」「食糧危機回避」……
Vol.12 数十年先の未来をポジティブ に予測する、日本と世界の「明るい青写真」
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「サッカーW杯で日本優勝」「技術大国として日本復権」「食糧危機回避」……
Vol.12 数十年先の未来をポジティブ に予測する、日本と世界の「明るい青写真」 ②
前回は、ドイツ出身のエコノミスト イェスパー・コール氏の著書『本当は世界がうらやむ最強の日本経済』から、日ごろ私たちが目にする悲観的な予測とは異なる、ポジティブな日本の「未来の青写真」をご紹介しました。
今回は、別の角度から、興味深い「ポジティブな未来の予想」を、さらに俯瞰してみましょう。
テクノロジーの進歩により世界の食糧危機は回避される?
英『エコノミスト』誌編集部がまとめた『2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する』(土方奈美・訳)の中では、世界が抱える諸問題に対し、いくつかの明るい未来が提示されています。
なかでも興味深いのは、第7章「食卓に並ぶ人造ステーキ」にて語られている、食糧危機にまつわる論考。『エコノミスト』科学技術担当エディターのジェフリー・カー氏は、次のように述べています。
『世界人口は約100億人に達するが、食糧危機は起こらない。細胞培養を通じて、多くの食品が工場で製造されるからだ。牛乳も卵も、生産に生身の動物は必要なくなる。』
高層ビル式の野菜工場や、人工食肉工場、魚の養殖、そして機械化などによる農業の効率化、遺伝子操作による収穫量の増産などにより食糧難は回避。それどころか、国連の食糧農業機関(FAO)の予測では「一人あたりのカロリー摂取」はむしろ今よりも増加するといいます。さらには、こんな大胆な予測も。
『2050年には少なくともステーキと牛乳は工場で大量生産されるようになっているだろう。鶏卵も同様だが、店頭用より殻のない業務用の製品が中心になるだろう。』
ちなみに、日本では2009年に国家プロジェクトとして、植物工場に農水省・経産省の補助金が投入されるようになっています。その結果、2011年3月時点で高度な環境制御を行う植物工場・大規模施設園芸の数は93箇所でしたが、2017年2月時点では197箇所に増加しました(※一般社団法人日本施設園芸協会「大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例調査」より)。
また、日本の魚の養殖技術は世界トップレベルといわれ、有名な「近大マグロ」をはじめ、2017年には日本水産がマダコの完全養殖の技術構築に成功、2018年に入ってからも岡山のジャパンマリンポニックスがヒレナマズの完全養殖に成功しています。さらに、日本企業が完全養殖マグロを欧米へ輸出する動きも見られ、ゆくゆくは日本が「世界の食糧庫」として注目を集めるかもしれません。
2050年までにサッカー日本代表がFIFAワールドカップで優勝する?
最後はスポーツ。世界トップクラスの競技人口を誇るサッカーでは、日本サッカー協会(JFA)が「2050年までのFIFAワールドカップ日本開催」および「その大会での優勝」を目標に掲げています(※「JFA2005年宣言」より)。
宣言から10年を経た2015年には、それまでの取り組みの総括と2050年に向けた壮大な目標を具現化するべく「JFAの目標2030」を新たに設定。合わせて、2022年までに力を入れる取り組みを「JFA中期計画2015-2022」として取りまとめています。
たとえば、強化にあたっては「(仮称)JFAナショナルフットボールセンター」を千葉県に設置。2面の天然芝ピッチ、クラブハウスなどを整備し、各カテゴリー日本代表の活動拠点として2020年から運用が開始される予定。先の中期計画ではその意義について、次のように綴られています。
イングランド、スペイン、ドイツ、フランスなど、サッカー強豪国では、代表選手の練習拠点としてナショナルフットボールセンターを有することが世界のサッカー界の潮流となってきています。JFAでは、日本代表の強化活動をより一層充実させるため、「JFAナショナルフットボールセンター(仮称)」を整備することを決定しました。
このほかにも、ピッチ内外における具体的な課題を示したうえで、必要な強化について言及。同時に2030年までの具体的な目標設定も新たに 掲げられ、「日本代表チームは、FIFAワールドカップに出場し続け、 2030年までに、ベスト4に入る」としています。
楽観論、悲観論、どちらに転ぶにせよ人生の備えは万全に
前回・今回はと2回に渡って、あえてポジティブな予測を紹介しましたが、もちろん未来は誰にも100%見通すことはできません。楽観的なものにせよ、悲観的なものにせよ、それはそれで一つの意見として参考にしつつ、個人レベルでは将来に向けて必要な備えを講じておくことが重要です。そうした冷静な視点や見通しがあればこそ、本当にポジティブな未来を引き寄せることもできるはずです。
AXA-A2-2010-0515/844