医療保険がいらないと言われる理由は?
必要性と合わせて解説
必要性と合わせて解説
公開日:2024/05/23
医療保険はいらないと見聞きすることがありますが、本当にいらないのか疑問に思っている方もいるでしょう。医療保険は、病気やケガで入院や手術をした場合などに給付金が受け取れるなど、もしもの時に役立つものです。しかし、加入する必要性が低い方もいます。
この記事では、医療保険がいらないといわれる理由や加入する必要性などについて解説していきます。
医療保険とは
医療保険は、病気やケガで入院・通院をしたり手術を受けたりした際に、給付金が受け取れる制度です。医療保険には「公的医療保険」と「民間の医療保険」の2つがあり、それぞれ別の役割を果たしています。
公的医療保険は、国民皆保険制度の「相互扶助精神」に基づき、国民全員を公的医療保険の対象としています。格安な医療費で高度な医 療を受けることが可能なうえ、医療機関を自由に選べます。
一方、民間の医療保険は保険会社が販売している商品のひとつで、公的医療保険を補完する役割を果たすものです。例えば、入院や手術、通院などの所定の条件に該当した場合に、給付金が支払われるため、入院時の食事代や個室利用料など、公的医療保険の保障対象外になる費用負担も軽減できます。加入は任意です。
「医療保険がいらない」と言われているのは、この民間の医療保険の方です。
民間の医療保険の加入率
「医療保険はいらない」という声もありますが、実際にはどのくらいの人が民間の医療保険に加入しているのでしょうか。民間の医療保険への加入率を見ていきましょう。
生命保険文化センターの2022年度「生活保障に関する調査」によると、「疾病入院給付金の支払われる生命保険」の加入率は65.7%です。男性は60.2%である一方、女性は70.1%もの加入率になっています。
年齢別に見ると、男性・女性共に50歳代が最も多く、男性は70.9%、女性は78.3%の方が加入しています。
男性 | 女性 | ||
年齢 | 割合 | 年齢 | 割合 |
20歳代 | 28.5% | 20歳代 | 43.8% |
30歳代 | 64.4% | 30歳代 | 70.2% |
40歳代 | 66.9% | 40歳代 | 74.9% |
50歳代 | 70.9% | 50歳代 | 78.3% |
60歳代 | 67.8% | 60歳代 | 74.9% |
70歳代 | 55.5% | 70歳代 | 66.5% |
医療保険がいらないと言われる理由
医療保険がいらないといわれるにはいくつか理由があります。公的医療保障制度が充実していることや保険料が高額な場合があること、給付金を受け取るには条件があることなどです。
では、それぞれの理由について詳しく確認していきましょう。なお、以後この記事では民間の医療保険について述べていきます。
公的医療保険制度が充実しているため
高額療養費制度があるため
保険料が高額な場合があるため
給付金が支払われるためには条件があるため
公的医療保険制度が充実しているため
日本では公的医療保険制度が充実しており、いずれかの健康保険に加入していれば、病院の窓口などで支払う医療費の自己負担額が軽減されます。自己負担額は年齢や収入により異なり、原則として3割負担です。
ただし、70歳以上の場合は所得に応じて1割~3割に分かれます。6歳未満の未就学児は2割負担ですが、自治体によっては助成制度があり、医療費が数百円あるいは無料となる地域も珍しくありません。
年齢 | 一般・低所得者 | 現役並み所得者 |
6歳未満 | 2割 | |
6歳以上70歳未満 | 3割 | |
70歳以上75歳未満 | 2割 | 3割 |
75歳以上 | 1割 |
参考:厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」
このように、自己負担が軽減されているので、ある程度の貯蓄があれば、医療保険に加入しなくても入院費や手術費用を支払えると考える方もいます。
高額療養費制度があるため
高額療養費制度とは、病院や薬局の窓口で1ヵ月間に支払った金額が上限額を超えた場合に、超えた金額が支給される制度です。上限額は、年齢や所得により異なります。ただし、入院時に提供される食事代や差額ベッド代など対象外のものもあります。
高額療養費制度では、一度窓口等で医療費を支払うのが原則です。しかし、支払うことが難しい場合は、事前に「限度額適用認定証」を提示すると、支払額が最初から自己負担限度額までになります。
高額療養費制度を利用すれば自己負担額を抑えられるため、医療保険がいらないと考えられる理由のひとつとなっています。
保険料が高額な場合があるため
一般的に、医療保険への加入年齢が高くなるほど保険料も高額になる傾向があります。理由としては、高齢になるほど病気にり患したり死亡したりするリスクが高まるためです。
若いうちに加入すると安い保険料にすることが可能ですが、保険料の払込期間が長期間に及ぶため、最終的にどちらが得なのかは一概にはいえません。
年齢が高くなってから加入し高い保険料を支払うよりも、貯蓄で備えておき、医療費が必要なときに充てたいと考える方もいます。
給付金が支払われるためには条件があるため
医療保険で給付金が受け取れるのは、生命保険会社が定める所定の支払条件に該当した場合のみです。そのため、どんなに高額な手術や治療を受けても、条件に合致していない場合は給付金が支給されないことになります。
支給事由に該当しない例として、以下のものが挙げられます。
保険の責任開始日前からすでに病気やケガをしていた
入院日数が所定の日数を満たしていない
支払い対象外の手術を受けた
このように、給付金が支給されるには約款に定められた条件に該当する必要があり、必ずしも給付金が支給されるわけではないことから、医療保険への加入を慎重に考えている人もいます。
医療保険の必要性
医療保険はいらないといわれる理由を見てきましたが、その一方で医療保険への加入割合は6割を超えています。医療保険に加入する必要性を感じている方も多いことがわかります。
では、医療保険の必要性についてどのようなことがあるのか解説していきます。
公的医療保障ではカバーしきれない費用に備えられる
入院時の逸失収入をカバーできる
公的医療保障ではカバーしきれない費用に備えられる
公的医療保険制度では、病気やケガにかかる医療費の自己負担を軽減できますが、保障対象外となるものもあります。例えば先にも触れたような、病院から提供される食事代や差額ベッド代などです。
ほかにも、先進医療や自由診療は公的医療保険の対象外となり、高額な治療費を全額自己負担する必要があります。病状に適した治療法があっても、公的医療保険制度の対象外で治療費が高額な場合、あきらめざるを得ないこともあるでしょう。
民間の医療保険に加入していれば、契約内容次第で先進医療や長期にわたる差額ベッド代などの高額な医療費に備えられます。
入院時の逸失収入をカバーできる
入院が長引いたり、退院後も療養期間が必要だったりする場合、仕事を長期間休むことになります。その間は給与が通常通り支払われず、生活費が不足することが考えられるでしょう。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、 入院時の逸失収入の平均額は30.2万円です。最も多いのが「5~10万円未満」の25.5%、次いで「10~20万円未満」の24.8%、「5万円未満」の14.2%となっています。
会社員や公務員など健康保険に加入している方は「傷病手当金」が受け取れます。ただし、平均日給のおよそ3分の2程度の金額であるうえ、支給期間は最長1年半までです。
不足する分を、民間の医療保険から支払われる給付金で補填することが可能です。
参考:生命保険文化センター「2022年度『生活保障に関する調査』」
医療保険が必要と考えられる人の特徴
医療保険がいらないといわれることがある一方、家庭の状況によっては加入する必要性があると考えられる方もいます。自営業やフリーランスの方や貯蓄が少ない方、小さな子どもがいる方などが該当します。
自営業やフリーランスの人
自営業やフリーランスの方は、医療保険の加入を検討してみるとよいでしょう。自営業などの方は国民健康保険に加入しますが、会社員などが加入する健康保険よりも、保障の範囲がやや限定されているからです。
健康保険では、条件に該当すれば傷病手当金が支給されますが、国民健康保険には傷病手当がありません。また、会社員と比べると老齢年金や障害年金の受給額は少ないのが一般的です。
働けなくなったときの収入減少を、医療保険でカバーすることが可能です。
貯蓄が少ない人
貯蓄が少なく、入院や手術などの医療費を支払うことで生活に支障をきたしそうな場合は、医療保険へ加入する必要性があるといえます。
医療費の自己負担割合が3割だとしても、自己負担が必要なことには変わりありません。また、高額な医療費がかかる場合は高額療養費制度を利用できますが、それでも自己負担上限額が決められています。
万が一急に高額の医療費が必要になった場合、貯蓄が少ないと家計に大きな負担がかかってしまいます。貯蓄に不安がある方は医療保険への加入の必要性を検討してみましょう。
小さな子どもがいる人
小さな子どもがいる方も、医療保険に加入を検討してみるとよいでしょう。子どもの教育費は高額になることが多いため、そのための費用を準備しておかなくてはなりません。
主に家計を支えている方が病気やケガで長期間働けなくなると、子どもの教育費用を準備することが難しくなります。その結果、十分な教育を受けさせてあげられなかったり、希望する進路に進ませてあげられなかったりすることが考えられます。
子どもの学ぶ機会を確保するため、また、希望する将来を心おきなく目指せるように、万が一の保障は医療保険でカバーしましょう。
民間の医療保険へ加入するメリットは多くある
医療保険はいらないといわれることがありますが、加入するメリットもあります。公的医療保険制度の保障対象外の費用をカバーしたり、逸失収入を補填したりすることが可能です。
特に、自営業やフリーランスの方、貯蓄の少ない方、小さな子どもがいる方などは医療保険への加入の必要性があるといえます。
ご自身の状況に適した内容の医療保険に加入して、経済的な不安を感じることなく治療に専念できるようにしましょう。
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■記事の監修者
名前:石野恆正(いしのつねまさ)
保有資格:トータル・ライフ・コンサルタント
生命保険会社の営業として、多くの家庭のライフプランの作成や保険の見直しサポート、新規提案などを経験。現在は独立し、生命保険、医療保険、社会保障制度を始めとする豊富な知識に加え、自身の資産運用の経験を活かしながら、金融関連記事の執筆や監修などを行っている。
AXA-A2-2403-0144/9LJ
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