がん保険の診断一時金(診断給付金)はいくら必要?
備えるべき保障を解説
備えるべき保障を解説
公開日:2024/05/23
がん保険の保障内容にはさまざまなものがありますが、その中に「がん診断一時金(診断給付金)」があります。受け取った一時金は、治療費に充てたり生活費の補填に利用したりと使いみちは自由です。
では、がん診断一時金はどのくらいの金額に設定すれば良いのでしょうか。また、ほかに備えるべき保障はあるのでしょうか。
この記事では、がん保険の一時金の金額を決める方法や契約する際の注意点などについて解説します。
がん保険の給付金の種類
がん保険に加入している場合、がんと診断されたときやがん治療中などに、所定の条件に該当すれば給付金を受け取れます。具体的にどのような給付金があるのか、種類や内容を解説していきます。
がん診断一時金(診断給付金)
がん診断一時金(診断給付金)は、医師からがんと診断されたときに給付されるものです。診断後、手続きをすればまとまった金額が支給されるので、治療費の確保がしやすいです。
なお、給付金の使いみちは自由なため、がん治療費以外にも生活費の補填や退院後の通院費、がん治療に伴うウィッグの購入費用などにも利用できます。
がん診断一時金の金額は、がん保険の種類や契約内容などにより異なりますが、一般的に50万円・100万円・200万円などから選択可能です。
がん診断一時金は、保険期間を通して1回のみの給付となる商品と、複数回給付される商品があります。
治療給付金
治療給付金は、がん治療のために入院や手術をしたり、放射線治療や抗がん剤治療などを受けたりした際に給付されるものです。
保険会社が定めた所定の状態に該当すると、あらかじめ定められた限度額を上限として給付を受けられます。
がん診断一時金でもまとまった金額を受けられますが、金額によっては不足する可能 性があります。一方、治療給付金は治療が長引いた場合にも対応しやすいです。
その他の給付金
がん保険には、がん治療を目的として入院した際の「がん入院給付金」や、手術を受けた際に受け取れる「がん手術給付金」などもあります。
しかし、近年のがん治療は入院よりも通院によるものが増加傾向にあり、入院日数に応じた給付の場合、十分な給付額を受け取れない可能性があります。
ほかにも、「通院給付金」や「先進医療給付金」などさまざまな給付金がありますが、保障対象が限定されている場合、給付条件に該当しないケースもあるため注意しましょう。
がん保険の一時金の額を設定する判断基準
がん保険の診断一時金は、50万円や100万円、200万円といったように保険会社が定めた金額の中から選択できます。
いくらに設定するかは、治療費にかかる費用や生活の補填に備えておきたい金額などによって判断すると良いでしょう。
治療費
厚生労働省の「医療給付実態調査(令和3年度)」によると、がん治療のために入院すると平均約80万円、通院の場合は約7万円の医療費がかかります。
治療期間が長引いた場合や治療内容によっては、さらに高額な医療費がかかる可能性もあります。
さらに、先進医療を受けた場合、一般的な診察料や検査料、投薬料などは公的医療保険が適用されますが、技術料は全額自己負担です。
厚生労働省の「令和5年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」によると、陽子線治療は約266万円、重粒子線治療では約314万円の自己負担がかかっています。
参考:厚生労働省「医療給付実態調査(令和3年度)」
参考:厚生労働省「令和5年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」
生活費の補填
がん治療に伴う医療費のほかにも、休業のために得られなくなった収入を補填しなくてはなりません。
厚生労働省の「令和2年 患者調査の概況」によると、がん入院の平均日数は約20日ですが、治療が終了してもすぐに仕事に復帰するのが難しいケースもあります。療養期間や復帰前の準備期間として、治療終了後も1カ月程度を見積もっておくと良いでしょう。
扶養している家族の分も合わせて、2カ月程度の生活費を目安に準備しておくことをおすすめします。
参考:厚生労働省「令和2年 患者調査の概況」
高額療養費制度や医療費控除など、保険以外の保障の見込み
高額療養費制度や医療費控除、傷病手当金など、がん保険以外からも保障が得られるものはないか確認しましょう。
高額療養費制度とは1か月に窓口で支払う医療費が定められた上限額を超えた場合、上限額を超えた分の払い戻しを受けられる制度です。条件を満たせば、がんの治療を受けた際にも利用することができます。
医療費控除は、1年間に自身または自身と生計を一にする配偶者・親族にかかった医療費が原則10万円(※)を超える場合に、所得控除を受けられる制度です。
また、勤務先で健康保険に加入している場合は、傷病手当金が受給可能です。病気やけがのために働けず、3日連続会社を休んだうえで、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。支給額は平均日給のおよそ3分の2です。
がん診断一時金は、がん治療にかかる費用と期待できる手当等から計算して、必要な金額を確保できる金額に設定しましょう。
※総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%の金額
がん保険を契約する際の一時金の注意事項
がん保険を契約する際には、診断一時金 の保障対象について確認すべきことがあります。
「上皮内新生物」への対応や保障対象になる治療法、診断金の受給可能回数など、特に気を付けたい点について解説します。
上皮内がんが保障範囲に含まれるか
がん保険によって、診断一時金の支給対象が悪性新生物のみのものと、上皮内新生物も含むものとがあります。
上皮内がんへの対応は、がん保険により主に次の3つのタイプがあります。
一般的ながんと同じ保障
一般的ながんよりも減額保障
保障対象外
一般的ながんと同額の保障が得られるものもあれば、保障額が減額されたり対象外になったりするものもあります。
上皮内がんはがんのステージ0に該当し、必ずしもがん化するとは限らないものです。しか し早期に対処すべきものなので、保障を付けたい場合はがん診断一時金の支給対象になっているかを確認してください。
どの治療法が保障に含まれるか
がん保険にはさまざまな特約を付けることで、特定の治療法に対して給付金が受け取れます。たとえば、「抗がん剤治療特約」や「放射線治療特約」、「女性がん入院特約」などです。
こういった特約が付いていれば、抗がん剤治療や放射線治療を受ける場合や女性特有のがんにり患した場合などに給付金を受け取れます。
しかし、実際にどのような治療を受けるか、また、がんが身体のどの部位に発症するかはわかりません。必ずしも給付金が受け取れるわけではないことに注意が必要です。
給付を受け取る回数は何回か
がん保険の診断一時金が受け取れる回数を確認することも大切です。がん診断一時金は、最初にがんと診断されたときに1回のみ給付されるものや、がんと診断されるたびに何度も給付されるものなどがあります。
がんは再発や転移の可能性があるため、複数回給付を受けられると安心です。
しかし、複数回受けられる場合でも、給付の間隔を所定の期間空けないといけない場合もあります。 そのため、契約時には給付回数を確認するとともに、複数回給付される場合、どのくらいの間隔が必要なのかも併せてチェックしましょう。
がん保険の一時金は医療費控除の対象になる?
がん保険をはじめ生命保険契約で受け取った給付金・保険金のうち、身体の疾病・傷害などに起因するものは税金がかかりません。そのため、がん診断一時金を受け取った場合でも非課税となり、確定申告をする必要はないとされています。
しかし、医療費控除を受ける際には注意が必要です。がん診断一時金を直接医療費を補填するため給付されたものと解釈する場合は、負担した医療費から差し引くことになります。
一方、医療費を直接補填をするものではないと解釈する場合は、差し引く必要はなくなります。
どのように解釈されるかは個別に判断する必要があるため、詳しくは税理士等に相談しましょう。
がん保険の一時金の額は自身の状況に合わせて判断しよう
がん保険の診断一時金は、保険会社で指定されている金額から自身の状況に合わせて選択できます。いくらに設定すれば良いのか迷った場合は、がん治療にかかる費用や生活費の補填に必要な金額、がん保険以外から受けられる保障などを計算のうえ決めると良いでしょう。
ただし、がん保険によって保障対象や内容、支給回数が異なるため、契約前に忘れずに確認することが大切です。
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■記事の監修者
名前:石野恆正(いしのつねまさ)
保有資格:トータル・ライフ・コンサルタント
生命保険会社の営業として、多くの家庭のライフプランの作成や保険の見直しサポート、新規提案などを経験。現在は独立し、生命保険、医療保険、社会保障制度を始めとする豊富な知識に加え、自身の資産運用の経験を活かしながら、金融関連記事の執筆や監修などを行っている。
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